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孫子の兵法(本文)

本 文

1〜4篇

5〜9篇

10〜13篇

意 訳

1〜4篇

5〜9篇

10〜13篇

 (太字は、比較的聞く機会が多いと思った言葉)

1.始計篇

孫子曰く、兵は国の大事にして、死生の地、存亡の道、察せざるべからず。

故に、これを測るに五事をもってし、これを校ぶるに計をもってして、その情を索む。
一に曰く道、二に曰く天、三に曰く地、四に曰く将、五に曰く法。
道とは、民をして上と意を同じくし、これと死すべく、これと生くべくして、危うきを畏れず。
天とは、陰陽・寒暑・時制なり。
地とは、遠近・険易・広狭・死生なり。
将とは、智・信・仁・勇・厳なり。
法とは、曲制・官道・主用なり。
およそこの五者は、将は聞かざる事なきも、これを知る者は勝ち、知らざる者は勝たず。

故に、これを校ぶるに計をもってして、その情を索む。
曰く、主いずれか有道なる。将いずれか有能なる。天地いずれか得たる。法令いずれか行わる。
兵衆いずれか強き。士卒いずれか練いたる。賞罰いずれか明らかなる。
吾、これをもって勝負を知る。
将、吾が計を聴いて、これを用いれば必ず勝つ。これに留まらん。
将、吾が計を聴かずんば、これを用うるといえども、必ず敗る。これを去らん。
計、利としてもって聴かるれば、すなわちこれが勢をなして、もってその外を佐く。
勢とは、利に因りて権を制するなり。

兵は詭道なり。
故に、能なるもこれに不能を示し、用なるもこれに不用を示し、近くともこれに遠きを示し、
利にしてこれを誘い、乱にしてこれを取り、実にしてこれに備え、強にしてこれを避け、
怒にしてこれをみだし、卑にしてこれを驕らせ、いつにしてこれを労し、親にしてこれを離す。
その無備を攻め、その不意に出づ。これ兵家の勢、先には伝うべからざるなり。

それ、いまだ戦わずして、廟算勝つ者は、算を得ること多ければなり。いまだ戦わずして、
廟算勝たざる者は、算を得ること少なかればなり。算多きは勝ち、算少なきは勝たず。
然るをいわんや算無きに於いておや。吾、これをもってこれを観れば、勝負見わる。

 

2.作戦篇

孫子曰く、およそ用兵の法は、馳車千駟、革車千乗、帯甲十万にて、千里に糧を送る。
則ち内外の費、賓客の用、膠漆の材、車甲の奉、日に千金を費やして、然る後に十万の師挙がる。
その戦いを用うるや、勝つも久しければ、則ち兵を鈍らし鋭を挫く。城を攻むれば、則ち力屈す。
久しく師を暴さば、則ち国用足らず。それ兵を鈍らし鋭を挫き、力を屈し貨を尽くさば、則ち諸侯、
その弊に乗じて起らん。知者ありといえども、その後を善くするを能わず。

故に、兵は拙速を聞くも、いまだ巧の久しきをみざるなり。
それ兵久しくして国利あるは、いまだこれあらざるなり。
故に、尽く用兵の害を知らざれば、則ち尽く用兵の利を知ること能わざるなり。

善く兵を用うる者は、役、最籍せず、糧、三載せず。用を国に取り、糧を敵に因る。
故に、軍食足るべきなり。国の師に貧するは、遠く輸ればなり。
遠く輸れば、則ち百姓貧し、師に近き者は貴売す。貴売すれば、則ち百姓、財竭く。
財竭くれば、則ち丘役に急なり。力屈し財を殫き中原の内、家に虚し。百姓の費え、
十にその七を去る。公家の費え、破車罷馬、甲冑矢弩、戟楯蔽櫓、丘牛大車、十にその六を去る。
故に、知将は務めて敵に食む。敵の一鍾を食むは、わが二十鍾に当り、きかん一石は、
わが二十石に当る。

故に、敵を殺すものは怒なり。敵の利を取るものは貨なり。
故に、車戦して車十乗以上を得れば、そのまず得たる者を賞し、そしてその旌旗を替え、
車は雑えてこれに乗り、卒は善くしてこれを養う。これを敵に勝ちて強きを益すと謂う。

故に、兵は勝つことを貴び、久しきを貴ばず。
故に、兵を知るの将は、生民の司令、国家安危の主なり。

 

3.謀攻篇

孫子曰く、およそ兵を用うるの法は、国を全うするを上となし、国を破るはこれに次ぐ。
軍を全うするを上となし、軍を破るはこれに次ぐ。旅を全うするを上となし、旅を破るはこれに次ぐ。
卒を全うするを上となし、卒を破るはこれに次ぐ。伍を全うするを上となし、伍を破るはこれに次ぐ
故に、百戦百勝は善の善なるものにあらず。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なるものなり。

故に、上兵は謀を伐つ。その次は交を伐つ。その次は兵を伐つ。その下は城を攻む。
城を攻むるの法は、やむを得ざるがためなり。櫓、ふんおんを修め、機械を具う。
三月にして後になる。距いんまた三月にして後にやむ。将その忿りに勝えずして、これに蟻附せしめ、
士を殺すこと三分の一にして、城抜けざるは、これ攻の災いなり。

故に、善く兵を用うる者は、人の兵を屈するも、戦うにあらざるなり。
人の城を抜くも、攻むるにあらざるなり。人の国を毀るも、久しきにあらざるなり。
必ず全きをもって天下に争う。故に、兵頓れずして、利全かるべし。これ謀攻の法なり。

故に、兵を用いるの法、十なれば、則ちこれを囲み。五なれば、則ちこれを攻め。
倍すれば、則ちこれを分かち。敵すれば、則ちよくこれと戦い。少なければ、則ちよくこれを逃れ。
若からざれば、則ちよくこれを避く。故に、小敵の堅は、大敵の擒なり。

その将は国の輔なり。輔周なれば、則ち国必ず強く、輔隙あれば、則ち国必ず弱し。
故に、君の軍に患うる所以のものに、三あり。
軍のもって進むべからざる知らずして、これに進めと謂い、軍のもって退くべからざるを知らずして
これに退けと謂う。これを軍をびすと謂う。
三軍の事を知らずして、三軍の政を同じくすれば、則ち軍士惑う。
三軍の権を知らずして、三軍の任を同じくすれば、則ち軍士疑う。
三軍すでに惑い且つ疑わば、則ち諸侯の難至る。これを軍を乱し勝を引くと謂う。

故に、勝を知るに五あり。もって戦うべきと、もって戦うべからざるとを知る者は勝つ。
衆寡の用を識る者は勝つ。上下欲を同じくする者は勝つ。虞をもって不虞を待つ者は勝つ。
将能にして、君御せざる者は勝つ。この五者は、勝を知るの道なり。

故に曰く、彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず。
彼を知らずして己を知れば、一勝一敗す。彼を知らず己を知らざれば、戦うごとに必ず殆うし。

 

4.軍形篇

孫子曰く、昔の善く戦う者は、先ず勝つべからざるをなして、以って敵の勝つべきを待つ。
勝つべからざるは己に在るも、勝つべきは敵に在り。
故に、善く戦う者は、勝つべからざるをなすも、敵をして必ず勝つべからしむる事あたわず。

故に曰く、勝つは知るべくして、なすべからず、と。
勝つべからざるは、守るなり。勝つべからざるは、攻むるなり。
守るはすなわち、足らざればなり。攻むるすなわち、余り有ればなり。
善く守る者は、九地の下に蔵れ、善く攻むる者は、九天の上に動く。
故に、善く自ら保ちて、勝ちを全うするなり。

勝ちを見ること、衆人の知る所に過ぎざれば、善の善なる者にあらざるなり。
戦い勝ちて、天下善と曰うも、善の善なる者にあらざるなり。
故に、秋豪を挙ぐるも、多力となさず。日月を見るも明目となさず。雷艇を聞くも聡耳となさず。

古の所謂善く戦う者は、勝ち易きに勝つ者なり。故に、善く戦う者の勝つや、知名なく勇功なし。
故に、その戦い勝ちてたがわず。たがわざるは、その措く所、必ず勝つ。
すでに敗るる者に勝てばなり。
この故に、勝兵は先ず勝ちてしかる後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いてしかる後に勝ちを求む。

善く兵を用うる者は、道を修めて法を保つ。故によく勝敗の政をなす。
兵法は、一に曰く度、二に曰く量、三に曰く数、四に曰く称、五に曰く勝。
地は度を生じ、度は量を生じ、量は数を生じ、数は称を生じ、称は勝を生ず。
故に、勝兵は鎰を以って銖を称るが如く、敗兵は銖を以って鎰を称るが如し。
勝者の民を戦わすや、積水を千尋の谷に決するがごときは、形なり。

 

 

 

本 文

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意 訳

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